2014年12月13日土曜日

試練の青島太平洋 その5


財布の中にあったICカードを駅員にみせます。

何を言われるのか、ヒヤヒヤもんです。

「あーあ。焦ったなあ。駅員に一言会話して、改札を通ればよかった。」

少し後悔します。


すると、



「あっ、荷物を探されていた方ですか?」

「わかりました。しかし、駅員に言ってから入るようにしてくださいよ。改札を無視して入るなんて駄目ですよ」

もう。ひとまわりも、ふたまわりも年齢の低い駅員さんに、怒られてしまいます。



しかし、やったぜ!!

なんとか切り抜けられた!!



とにかく、一礼して、モノレールに駆け込みます。





そのモノレールは、暫くして、羽田空港に向けて出発しました。


このままいくと、飛行機の出発時間の15分前には、空港の駅に到着しそうです。



15分かあ・・



飛行機が、遅れていれば、まだ可能性はあるかもしれません。



スマホから、問題の飛行機の状況を確認します。

なんと、予定通り、11時40分の出発にようです。


「くそう。残念だぜ。」



しかし、人間って不思議なもんです。

さっきまで、カバンが見つかったことに感謝して、もう飛行機代なんて支払っても構わないと考えていたにもかかわらず、正規料金で飛行機のチケットを購入する代金が、だんだんとおしくなってきました。

なんと、卑しいんでしょう。

自分の人間の小ささに情けなくなってきました。



ですから、そのたびに、駄目だ駄目だと自分にいいきかせます。

飛行機は、あきらめよう。

だから、飛行機代の支払いは覚悟するんだ。

荷物が出てきただけでも、奇跡だ。

それだけでも感謝しても感謝しきれないはずだ。


支払いは、仕方ないとしても、間に合うだけの努力をしてみよう。

それで、間に合わなくても、荷物は発見できたし、きちんと今日の夕方には宮崎には到着できるはずなんで、それでいいじゃないか!




何度も、何度も、そう自分に信じ込ませます。



ホームに到着して、とりあえず。出発ロビーに急ぎます。

とりあえず、最後までがんばってみよう。

まずは、機械に予約番号を入力して、チケットを受け取らなければなりません。

しかし、何度も、旅行会社から言われた番号を入力しますが、受け付けてくれません。



これは、もう有人カウンターに行くしかありません。

とにかく、急ぎます。

まだ、あきらめるわけにはいきません。



カウンターで、可愛いお姉さんに、旅行会社からのメールを見せて、チケットを要求します。

「でも、11時40分発の飛行機なんで、もう間に合わないでしょう。その場合は、片道購入しますから・・」

そう伝える僕。



すると



「そうですね。もうその飛行機は搭乗を締め切っていますから。」



「これは、旅行代理店で購入されたチケットですね。」

「はい。変更のきかない安いやつですよ。」



「ちょっと待ってください。もう、その飛行機には乗れませんが、お客様の場合は、時間前にカウンターに来ていただいたので、次の便を手配しますよ。!!」



えええええっ?

耳を疑いました。



「えっ?じゃあ、チケットを購入する必要ないんですか?」

「大丈夫ですよ!!」



な・・なんということでしょう。

僕には、彼女が、天使にしか見えませんでした。


思わず、彼女にキスをしようかと思うほどですが、さすがに我慢です。




とにかく、最後まで、諦めなくて良かった。

諦めていたら、バッグも見つからなかっただろうし、チケットだった、購入するはめになっていたはずです。



「諦めたら、終わる。」


野辺山で聞いたデカフォレストのおじさんの言葉を今更ながら思い出します。


ウルトラマラソンは、諦めたら、そこでおわるんじゃ!!



そして、予定より2時間半遅れて、午前中の喧騒などまるで無かったかのような出で立ちで、無事宮崎空港に到着しました。

つづく











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