2014年12月13日土曜日

試練の青島太平洋 その4



いや、ちょっと怪しいでしょう。

突然、山手線の電車に飛び乗ってきた男が、既に置いてあった網棚のバッグを、即取り上げるって。


バッグを抱きしめながら、周りの僕を見る怪しげな視線を感じます。



確かにそうだ。


これは、彼らに事情を説明しないと・・・

どうする?



ふと目の前を見ると、優先席に大人しく座る老夫婦。

彼らと目がしました。




「いやあ、日本はいい国ですよねえ・・・」

突然、彼らに話しかける僕。


「ど・どうされたんですか・・・」


おっと、のっかってきたぞ。



「いやあ、バッグを忘れていたんで、山手線が一周するのを待って見たんですが、そのバッグがあったんですよ・・」

なあんて、これまでの経緯を、まったく知らない老夫婦に説明する僕。



これで、周囲の人たちも、少し事情を察してくれるに違いありません。

「でも、飛行機が11時40分なんですよね。それには、もう間に合わないです」

と説明すると、



「いや、まだ間にあうんじゃないですか・・」

と切り返すおじいさん。



へっ?

時間は11時。

あと40分あります。


「いやあ・・・無理でしょう」

なんて、答えながらも、わずかの希望が見えてきました。

これは、ダッシュしてみるか・・・




浜松町に到着して、走る、走る、走る。


遺失物係りの部屋に突入して、置いていた荷物を回収しながら、バッグを発見できたことを説明して、大きな声でお礼をいいながら駆け出します。


JRの改札は、突破です。

モノレールの改札も、赤ランプを無視して突破しました。



階段を駆け上がります。

次のモノレールは快速みたいだ。

ラッキーだぜ!!

もしかしたら、間に合うかも・・・




希望が見えた瞬間のことです。

「お客さん!!お客さん!!」

大きな声で呼び止められます。


えっ、僕のこと?



「モノレールの切符を見せてください!!」

突然駅員に呼び止められます。

「駄目じゃないですか、改札を突破したら。」

「切符を見せてくださいよ。切符を・・・」

まるで、どろぼうを追い詰める警官のようです。




だいたい、僕、切符なんで持ってません。

だって、ICカードですよ。チャージしたの。



とにかく、急いでICカードを見せますが、これでどうなるというのだろう?

このICカードの履歴を確認するために、機械なんかにかけて確認された日には、せっかく飛行機に間に合うチャンスが・・・



つづく

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